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金大生のための読書案内 ― 教員から学生へ


平成29年6月~ 自然科学系図書館で展示中

読書案内を書き,自分の読書傾向を知る

横川正美先生(医薬保健学域 保健学類)

  
 図書委員の先生に「書いてみない?」と聞かれて,深く考えずに「書いてみます」とお返事したものの,いざ,書こうとすると一向に筆が進まない。「パソコン入力で『筆が進まない』とは,何か変だ」とか,「人に一冊だけ本を勧めるとしたら…?」とか,あれこれ思い浮かべているうちに原稿の締切り日がどんどん近づき,あっという間に期限が来てしまった。
 「金大生のための読書案内」なので,自分の大学生に相当する年代を振り返ってみることにする。18歳から22歳は短大生,そして社会人1年生であった。この頃,本を読むといえば,8割がた授業か実習関連の書籍や文献だった。課題を作成するために本や文献を探して読み,自分の考えを合わせてまとめる,という本の読み方があることを知った。真剣に読み,読んだことで興味が深まっていくけれど,それは,例えば,推理小説を読む時,犯人は誰だろう?とスリリングな気持ちで次の頁をめくる,あるいは親子の愛情を描いた物語を読んで心が温まるといった,自分の感情が動く読書とはどこか違っていた。
 それから3年くらいして,大学に編入した。この頃は授業関連の本を楽しく読んだ。短大時代に「楽しく」とは思えなかった授業関連の読書が,どうして編入時代になると楽しく感じられるようになったのだろう?おそらく,仕事をする中で専門領域のことが実際の経験を通して理解できるようになり,単に興味が深まるだけでなく,本の知識と実際の経験とがつながっていくことに楽しみを感じたのだと思う。
 長らく影を潜めていた趣味的な読書はここ何年かで復活し,小刻みではあるが本を読むことを楽しんでいる。以前は一度読んだ本を繰り返し読むことはあまりなかったが,最近は過去に読んだ本を再度,読み返すことがある。さらっと読み流していた一文が,次に読んだ時に腑に落ちることがある。とても感動した箇所が,次に読んだ時には何に感動していたのだったか思い出せないこともある。本は変わらないのに,読み手である自分の状態によって本から得られるものが変わる。初めて読む時とは異なる本の楽しみ方である。
 前の段落を受け,「そこで,今日は私が繰り返し読んだ本の中から,珠玉の何冊かをご紹介します」となるはずが,そうはならなかった。先に作った推薦図書リストには,繰り返し読んではいない本も登場していたからである。とはいえ,リストにあげた本は楽しみ,癒し,学び,思考,心に様々な栄養を私に与えてくれた本たちである。そして,紹介したい本をリストにしてみると,大部分が聞き書きやご講演の本になった。


1.NHK夢の美術館
: 世界の名建築100選/ 新建築社編集, 新建築社 , 2008.12 (図開架 520.2:Y95)

 テレビで放映された世界の名建築の番組がその後,書籍化された。建築物の写真に解説がついており,建物の美しさと時代や文化の背景が簡潔にまとめられている。見るだけで旅をした気分になる一冊である。
   
      2. 
橋をかける: 子供時代の読書の思い出 / 美智子 [述], すえもりブックス , 1998.11
     (図開架  019.5:M624)  
 皇后 美智子さまの子供時代の読書の思い出のご講演を収めた本である。日本語が,こんなにも美しい言葉だったのかと,綴られている言葉の美しさに魅了された。幼少のころ大切にされていた宝物を見せていただいたような気持ちになった。
   
      3.
木に学べ : 法隆寺・薬師寺の美 / 西岡常一著, 小学館 , 1991.8 (図開架 526.18:N724)
 宮大工棟梁だった西岡常一氏の聞き書き本である。「木を組むには人の心を組め」,
「堂塔の木組みは寸法で組まずに木のクセで組め」,「木を知るには土を知れ」。棟梁が伝授された口伝は,医療職である自分の日常に置き換えられる。「患者さんを治療するには心を汲め」,「患者さんの治療は検査値だけでなく動きのクセで組め」,「患者さんを知るには生活背景を知れ」。伝授されてもすぐに実行できるわけではないところも共通している。どのような仕事でも置き換えることができそうである。
   
      4.子や孫に読み聞かせたい論語 / 安岡定子著 , 新潮社 , 2011.10 (図開架 123.83:Y29)
 論語54章の書き下し文と日本語訳の本。中学校や高校で読んだことのある章もあるが,著者の日本語訳や解説を読むと長く親しまれている古典の価値に改めて気づいた。自分が読みやすい論語の解説本を一冊持っておくのも良いのではないだろうか。
     
      5.
流れる星は生きている  /藤原てい著 , 日比谷出版社 , 1949 (図書庫 916:F961)
 昭和二十年に3人の子どもをつれて,満州から日本に引き揚げてきた女性のノンフィクション。小学生の時,初めて読んだ。親子が無事に帰国できるのか,ただただ読んだ。今年の夏,再び読んでみると,著者の思いを子どもの自分なりに理解していたことは間違いないが,その理解は一面的であったかもしれない。

   6.
川崎病は,いま : 聞き書き川崎富作 / 川崎富作 [述] ; 細川静雄, 原信田実編著, 木魂社 ,
     2006.6 (図開架 493.931:H827)
「川崎病」という病気を発見した川崎富作先生の聞き書き本である。担当する授業の話題の一つとして読んでみようと購入した。あるテレビ番組で川崎先生が「Book reading より Patient reading」(教科書を学ぶより、患者を診る事が大切)と言われていた。教科書を学ばなくてよいということではなく,正解は目の前の患者さんにあるという意味だと思う。

    7.
アー・ユー・フリー? : 自分を自由にする一〇〇の話 / 加島祥造著 小学館 , 2014.3 (図開架    
         914.6:K19)
 老子の思想を翻訳,詩,墨彩画,様々な形で表現している加島祥造氏の講演が,自分を自由にする100の話として,まとめられている。実は全話を読んでいない。一度も読んでいない話と,何度か読んでいる話がある。自分の奥深くを掘り下げていった先に,思考の空間の広がりが見えてくるような不思議な本である。 

   8.
教えるということ / 大村はま著 共文社 , 1973.11 (図書庫 370.4:O57)
 中学校の国語教師であった大村はま先生の各地での講演をまとめた本である。知人に紹介されて読んだ。どのような姿勢で教育に臨めばよいのか,教育者のあり方が示されている。教員という枠にとどまらず,指導する立場の人に必要な心構えが書かれている。

      9.
捨てる力 / 羽生善治著 PHP研究所 , 2013.2 (図開架 796:H116)
 将棋棋士としてあまりにも有名な著者の比較的最近の本。思考過程のほぼすべてを言語化できているのではないかと思う。言葉にできない部分までもが言葉で説明されている。技能,技術の習得過程を学べるのではないかと,折々に読んでいる。

    10.
アインシュタイン150の言葉 / アインシュタイン [著] ; ジェリー・メイヤー, ジョン・P・ホームズ編 ; 
          ディスカヴァー21編集部 [訳],
ディスカヴァー・トゥエンティワン , 1997.4 (図開架 289.3:M468)
 アルバート・アインシュタインの言葉をまとめた”Bite-Size Einstein”の訳本である。「人生について」,「哲学,そして人間性について」など,いくつかの項目別になっている。たまにパッとあるページを開き,そのページに書かれている言葉を「今日の自分へのメッセージ」だと思って読んでいる。

 

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