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金大生のための読書案内 ― 教員から学生へ


平成29年1月5日~ 医学図書館で展示中!

    本は別世界への扉         

        西脇 ゆり先生(男女共同参画キャリアデサインラボラトリ-)


 大学は出会いの場だと思います。大学生活の中で多くの人や学問との出会 いを得てほしいと思います。そしてまた本とも出会ってみて下さい。
 
 私はいわゆる「本の虫(死語でしょうか)」で活字がないと生きていけません。どんなに忙しい時でも新聞,雑誌,本・・・なんでもいいので文字を読みます。本は食べ物と同じくらい生活必需品なので,引っ越しの時に家を選ぶ基準の1つは, 「図書館が近いこと」です。

 そんな私にとって,本は別世界への扉です。 基本的に物語が好きなので, エッセイやノンフィクションよりも小説を読んでいます。物語を読む時は,自分が自分であることを忘れ,完全にその世界に入り込んでいます。人生は1回きりで,性別も年齢も顔も才能も仕事も簡単には変えることはできませんが,本の中では ヒーローにも天才にも魔法使いにも動物にも同化できます。

 小学生の頃は,ルパンやホームズ,少年探偵団が大好きで,中学生になってからはアガサ・クリスティを読み漁り,クロフツやクイーンなどを読みました。SFも好きで星新一を読んだり新井素子を読んだり。大学生になってからは綾辻行人の「十角館の殺人」に衝撃を受け,新本格と呼ばれる分野を数多く読みました。一人旅のお供は赤川次郎,内田康夫,西村京太郎。私と同年代の方には頷いていただけるかもしれません。シリーズ物も好きです。栗本薫の未完の大作グインサーガ(100巻以上あります)を始めとして沢山のシリーズ物を読みました。


 今回,本の紹介というお話をいただいた時,娯楽系の物語ばかりを読んできた自分が人に本を紹介して良いのだろうか・・・と自問自答しました。例えば推理小説なんて殺人が日常茶飯事ですし,人にご紹介したら悪影響かも?などと心配しました。でも,これまでいろいろな先生方が個性やご専門を活かした紹介をされているのを拝読し,自分なりの本の紹介をできれば良いのではと思いました。「誰でも知っているベストセラーを紹介してなんになるのだろう?」などと気にせず素直に私の好きな本をご紹介します。「別世界」へ連れて行ってくれる物語を中心に選んでみました。


 学生の皆様にお伝えしたいのは,長い物語は若いうちに読んだ方がいい(年をとると眼と気力が衰えてくるから)ということと,年齢によって感動する本は変わっていく(適齢期がある)ということです。今しか出会えない物語,自分の感性に合う別世界を是非見つけていって下さい。

 
   1.トムは真夜中の庭で / フィリパ・ピアス作 ; 高杉一郎訳, 岩波書店 , 2006.4 (図開架 933:P359)
 児童書です。大学の図書館でご紹介するのはそぐわないですね。でも子供の頃読んでとても感動した大好きな本なので,リストに入れてみました。イギリスのファンタジー。最近,読み返してみましたが大人が読んでもイギリスの美しい情景と時の流れに感動できると思います。でも是非主人公のトム(少年)に共感できる若い方に読んでいただきたいです。

2.黒後家蜘蛛の会 / アイザック・アシモフ著 ; 池央耿訳 , 東京創元社 , 1976- (図開架 933:A832:1~5)

 アシモフといえば有名なSF作家ですが,この黒後家蜘蛛の会はSFではありません。推理短編集です。長い物語が苦手な方にも楽しんでいただけると思います。給仕のヘンリーが素敵です。お気に召した方はシリーズが何冊もありますので,2以降もお楽しみください。

                                                         3.しゃばけ / 畠中恵著 , 新潮社 , 2013.3 (図開架 913.6:H361)

 江戸時代,お金持ちだけれど体の弱い若旦那「一太郎」とその周囲の妖怪達の話。時代物の好きな方にもお勧め。「兄や」二人の若旦那への愛がとてもいいです。ドラマにもなっているのでご存知の方も多いかもしれません。鳴家がかわいいです。シリーズは続いていて,若旦那も段々成長し,周囲も変化していきます。続きが気になります。

                                                         4.蒼き狼 / 井上靖著 , 新潮社 , 1962 (図書庫 913.6:I58:3)

 ずっと読んだことすら忘れていたのに,「大学生にお勧めしたい本」と聞いた時になぜか脳裏に浮かんだ一冊です。成吉思汗(チンギス・カン)の生涯を書いた本。一代で大陸に帝国を築き上げた成吉思汗はどんな人だったのか。会えたような気分になります。それほど大長編ではないのに,重厚で力強さを感じる,読むのにもエネルギーがいる本だと思います。若くて気力がある方にお勧めです。

                                                          5.フリーター、家を買う。 / 有川浩 [著] , 幻冬舎 , 2012.8 (図開架 913.6:A699)

 有川浩。いいですよね。映画にもなった「図書館戦争」シリーズや,「阪急電車」も「三匹のおっさん」も好きです。その著作の中で,若者が主人公の本書をご紹介してみます。かなりダメな生活を送る青年の成長物語です。勇気づけられます。

6.オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎著 , 新潮社 , 2003.12 (自然図2F一般図書  913.6:I74)

 ベストセラー作家,伊坂幸太郎のデビュー作です。私は最初に読んだ時,その不可思議な世界に衝撃を受けました。「別世界」に行きたい方にはお勧めです。気にいった方は「アヒルと鴨のコインロッカー」など他の作品もどうぞ。「オー!ファーザー」も私はかなり好きです。

7.ぼくは勉強ができない / 山田詠美著, 新潮社 , 1996.3 (図開架 913.6:Y19)

 山田詠美の作品の多くは,ディープというかR指定というか・・・少なくとも教員が学生に紹介するような感じではありません。でもこの「ぼくは勉強ができない」は山田作品の中では爽やかなのでギリギリ許されるかと思い,紹介してみます。勉強ができないけれども素敵な男子高校生の話。合わない方もいると思いますが,合う方は読後,「良い本に出会った」と思っていただけるのではないかと思います。

8.春来たる死神 / 桜庭一樹 [著] , 角川書店 , 2010.3 (図開架 913.6:S158)

 ご存知の方も多いと思います,直木賞作家の桜庭一樹。日本推理作家協会賞を受賞した「赤朽葉家の伝説」も,「ファミリーポートレイト」などの作品も読んでいる時はつらかったり重かったりするけれど,最後には感慨が残る作品です。でも人に勧めるのはちょっと難しいと思う面もあります。その中で,GOSICKシリーズ,これは比較的気楽に読めると思います。ヨーロッパが舞台の少年少女の物語。主人公の二人も学校の先生も警部も家族も,皆普通とは一味違います。

9.時生 / 東野圭吾[著] , 講談社 , 2005.8 (図開架 913.6:H634)

 言わずと知れた,ベストセラー作家の東野圭吾。直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」,ドラマにもなった「白夜行」・・・,印象的で衝撃的で圧倒的な作品の数々です。もう敢えてご紹介するまでもないかもしれない東野作品ですが,トキオをご紹介します。タイムトラベル物ですが,さすがの良さで,時生くんが素敵です。でも若い頃の主人公はダメすぎるかもしれません・・・。


10.アルジャーノンに花束を / ダニエル・キイス著 ; 小尾芙佐訳 早川書房 , 2015.3 (図開架933:K44)

 何度かドラマ化もされていますし,有名な話ですからあらすじを知っている方も多いと思います。でも,やはり本で読むのが一番印象深いのではと思います。最後に泣けてしまいますが,泣けるだけではなく,いろいろ考えさせてくれる作品だと思います。


11.ステップファザー・ステップ / 宮部みゆき[著講談社 , 1996.7 (図開架 913.6:M685)

 宮部みゆき。ベストセラー作家です。「火車」もいいし,「模倣犯」もすごいです。時代物や「ドリームバスター」のようなファンタジーまで,いろいろな分野で,圧倒的に読者を引き付ける作品を沢山書かれています。初期の「魔術はささやく」や「龍は眠る」の頃から宮部作品のキャラクターはいつも魅力的だと思います。大作も多いですが,軽く読める物として短編集のステップファザー・ステップをご紹介します。泥棒と双子の中学生の物語。ほのぼの系です。


12.ホット・ロック / ドナルド・E・ウエストレイク [著] ; 平井イサク訳 角川書店 , 1998.9  (図開架 933:W529)

 なんだか泥棒の出てくる物語ばかり紹介していますが,でも面白いので紹介します。独創的な犯罪計画を立てるのに,いろいろうまくいかない泥棒ドートマンダーシリーズ第一作。昔,私はこういうのが好きでした。古いし翻訳物ですが,きっとドタバタ物が好きな人には楽しんでいただけるはず。気にいった方はドートマンダーシリーズお勧めです。


13.街の灯 / 北村薫著 文藝春秋 , 2006.5 (図開架 913:K62)

 最初は覆面作家としてデビューした北村薫。性別もわかりませんでしたが,その後男性であることがわかりました。デビュー作の「空飛ぶ馬」から始まる落語家の円紫さんシリーズも好きですし,「スキップ」「ターン」「リセット」も有名ですが,私はこの「街の灯」で始まる昭和初期のお嬢様英子と運転手のベッキーさんが出てくるシリーズが好きです。昭和初期の上流階級の雰囲気が品良く,かついきいきと書かれていてその世界がいいです。曾祖父母や祖父母が生きていた時代なのだと思いながら読みました。三部作(「玻璃の天」「鷺と雪」)です。


14.星へ行く船 : ロマンチックSF

 新井素子の本が中学生,高校生の頃大好きで,全ての本を持っていました。中でも「星へ行く船」シリーズ(全5冊),大好きでした。いわゆるライトノベルの先駆けだと思いますが,当時はライトノベルという言葉はありませんでした。あゆみという家出した女の子が火星に行っていろいろな人と出会って成長する物語。太一郎さんもレイディ(続編の「通りすがりのレイディ」で登場)も事務所のみんなも素敵です。今読むと古く感じるかもしれませんが,一応未来の話。SFが苦手な方でも楽しく読めると思います。(この本,今はもう絶版だそうですね。残念ですが。)


15.統計学入門 / 東京大学教養学部統計学教室編東京大学出版会 , 1991.7 (図開架 417:T646)

  番外編です。物語ではありません。でも「学生にお勧めできる本」です。大学時代に授業で使った教科書のうち,この教科書だけはずっと何度でも参照しています。社会人になると結構仕事で統計が必要になります。そんな時に,すっかり忘れてしまっていても,またこの本に戻れば思い出せる・・・そんな本で頼りになります。これも統計という「別世界への扉」ということで,こじつけかもしれませんが,お勧めです。

 

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