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平成29年12月4日~ 保健学類図書室で展示中!

大学生小説         

          福士 圭介先生(環日本海域環境研究センター)


 私は大学学部生の約4年間を北海道大学の恵迪寮で過ごした。恵迪寮では,各階のブロックごとに約10人のグループをつくり共同生活を送った。 個室用の居室は机を並べて共同の勉強部屋とし,ベッドを並べて共通の寝室とした。また個室間の壁をとりはらい,大部屋として利用することもあった。部屋には日常のゴミがたまり,半年もたつと地層をなした。我々同じ釜のメシを食い,同じ瓶の酒を飲み,同じように単位を落としていったのであった。
 もう一度当時に戻りたいとは思いませんが,当時の経験や,そこで出会った人々が私の人格形成に与えた影響は大きいような気がします。大学生のみなさんは意識していないかもしれませんが,いまここで,今後の人生を左右する経験や出会いをしているかもしれません。大学生や大学生活を取り扱った小説作品は時代を問わずに発表されています。 ここでは,印象に残っている大学生を題材とした小説を紹介します。

   1.北の海 / 井上靖, 新潮社, 2003.8 (図開架 913.6:I58:1~2)
「しろばんば」「夏草冬涛」につづく作者の自伝的作品です。小説の主たる舞台は、1920年代半ば(大正末期から昭和初期)金沢の旧制四高です。主人公は四高生の柔道部員に誘われ、金沢で数日を過ごします。勉強も遊びもなげうち「練習量がすべてを決定する柔道」をストイックに追求する学生が魅力的です。

2.されどわれらが日々- / 柴田翔文藝春秋, 1964 (図書庫 913.6:S555)

 1950年代後半,学生運動がカルト的ではなく一般的な支持をうけていた時代が舞台です。当時の大学生は今よりも選ばれた存在であり,その点社会への関心が高く,責任感も強かったのでしょう。当時の大学や大学生の雰囲気に感じ取ることができます。

                                                         3.ノルウェイの森 / 村上春樹著 講談社, 1987.9 (図開架 913.6:M972:1~2)

 ノーベル文学賞候補として毎年候補にあがる村上春樹の作品です。1960年代の東京を舞台としており,当時の若者文化を感じることができます。時代は学生運動のまっさかりですが,政治に関心をもつ学生はほとんど登場しません。どこか破綻した人たちに翻弄される大学生の物語です。

                                                         4.優しいサヨクのための嬉遊曲 / 島田雅彦著新潮社, 2001.8 (図書庫 913.6:S556)

 小説の舞台は1980年代初頭で,景気は安定し,学生運動は下火になった時代です。小説では学生運動に出遅れてしまった大学生たちが描かれています。作品自体も作者が大学生(22歳)の時に執筆されたものです。

                                                          5.七帝柔道記 (ななていじゅうどうき) / 増田俊也著角川グループパブリッシング (発売), 2013.2 (図開架 913.6:M424)

 小説の舞台は1980年代半ばの北海道大学です。作者によると「北の海」の続編を意識して書かれた作品です。時代は半世紀以上後ですが,「北の海」同様に,柔道に学生時代のすべてを費やす熱い学生たちが描かれます。 

6.反乱のボヤージュ / 野沢尚著集英社, 2004.8 (図開架 913.6:N961)

 かつて東京大学の駒場キャンパスには駒場寮という自治寮がありましたが,2001年に強制執行の末廃寮になりました。この小説は駒場寮存続運動に着想を得た作品です。

7.NHKにようこそ! / 滝本竜彦 [著] , 角川書店, 2005.6 (図開架 913.6:T136)

 NHKとは「日本引きこもり協会」の略です。時代は1990年後半から2000年初頭。いわいる「失われた10年」です。大学を中退した無職引きこもり22歳の青年の生活や心の葛藤を描いています。

8.Nのために / 湊かなえ著双葉社, 2014.8 (図開架 913.6:M663)

 これも時代は2000年代かと思います。東京の下宿に集った3人の大学生をめぐるお話です。殺人事件のからむミステリー小説なのですが,むしろ3人の大学生の下宿での会話や交流が作品の魅力です。榮倉奈々さん主演でドラマ化もされています。

9.クローズド・ノート / 雫井脩介 [著]角川グループパブリッシング (発売), 2008.6 (図開架 913.6:S558)

 今回紹介した小説のほとんどは,主人公がやたらと不器用もしくは,不器用な人々に翻弄される内容なのですが,この小説は例外です。作者による女子学生の心理描写がたくみです。
 沢尻エリカさん主演で映画化もされました。


10.恋文の技術 / 森見登美彦[著]ポプラ社, 2011.4(図開架933:M857)

 主人公は京都で学部卒業ののち,七尾にある大学付属の臨海試験所(架空の試験所です)に送りこまれた大学院生です。京都の友人らに送った手紙からのみ構成される書簡形式の小説です。大学生らしい煩悩を抱えた主人公を描いており,男子のみなさんは多いに共感できると思います。
 

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