中垣良一教授(読書のすすめ)
平成20年9月26日~21年2月5日 中央図書館で展示されました
読書のすすめ
中垣良一教授(医薬保健学域-創薬科学/薬学類)
私は自然科学を学んだため,多くの人々に科学の歴史や科学者の生い立ちとその歩みについて知ってほしいと考えている。自然科学は,西欧を中心にして成立した学問領域なので,ヨーロッパの言語,文化,歴史を学ぶことは,自然科学の勉学においても有用である。我々日本人にとって自然科学を学ぶことは,一種の異文化理解の側面をもっている。
本を読む際,なるべく関連のある本を継続して読むと,理解の深まることが多い。文学作品であっても,映画化されていれば,映像からのメッセージを読み取ることができる。たとえば,北杜夫の「夜と霧の隅で」を読む場合,V.E.フランクルの「夜と霧」を読んだ経験があるのとないのとでは,理解の深さと広がりに大差が生じる。また,アラン・レネの映画「夜と霧」を鑑賞した経験があるのとないのとでも大きな違いがある。
何につけても本を一冊読んだら,その周辺にある著作をかじってみるとよい。最初は理解が浅くても,問題意識をもち続けていればよい。そうすると,段々と理解の程度が深まる。読書の愉しみは,知識の量を増やすことよりは,知識の質の高まりを体験するところにある。
【自然科学の歩みを理解するために】
1. 「リーゼ・マイトナー」 / R.L.サイム著(米沢富美子監修,鈴木淑美訳) Springer-Verlag東京
2. 「オットー・ハーン自伝」 / O.ハーン著(山崎和夫訳) みすず書房
(図開架 289.3:H148 / 医保図書室 289.3:H148 )
3. 「毒ガス開発の父ハーバー」 / 宮田親平 (朝日選書)
(図開架 289.3:M685 )
4. 「ヒトラー政権と科学者たち」 / A.D.バイエルヘン著(常石敬一訳) (岩波現代選書)
(図開架 420.28:B573)
5. 「部分と全体」 / W.ハイゼンベルク著(山崎和夫訳) みすず書房
(図開架 289.3:H473 / 自然図2F一般図書 289.3:H473 / 医保図書室 420.28:H473b )
6. 「物理学とは何だろうか(上)・(下)」 / 朝永振一郎 (岩波新書)
(図開架 S420.2:T661:v.1-2 / 自然図2F一般図書 420.4:T661 / 医保図書室 420.2:T661:1-2 )
7. 「学問の創造」 / 福井謙一 佼成出版社
(図開架 002:F961 / 自然図2F一般図書 002:F961 )
8. 「空気の発見」 / 三宅泰雄 (角川文庫)
(図開架 435:M685 )
9. 「仁科芳雄 : 日本の原子科学の曙」 / 玉木英彦, 江沢洋編 みすず書房
(図開架 289.1:N724)
【ヨーロッパ文化を理解するための一助として】
1. 「夜と霧の隅で」 / 北杜夫著 (新潮文庫)
(図開架 913.6:K62 )
2. 「フランクル著作集第1 夜と霧 : ドイツ強制収容所の体験記録」 / V.E.フランクル著(霜山徳爾訳) みすず書房
(図開架 084:F831f:1 )
3. 「ヨーロッパとは何か」 / 増田四郎 (岩波新書)
(図開架 S230:M424 )
4. 「ウィーンのユダヤ人」 / 野村真理 御茶の水書房
(図書庫 316.88:N811 )
5. 「白バラは散らず」 / インゲ・ショル著(内垣啓一訳) 未来社
(図書庫 945.9:S368 )
6. 「自分のなかに歴史をよむ」 / 阿部謹也 (ちくまプリマーブックス)
(図留学生 230.04:A138 )
7. 「誤訳」 / W.A.グロータース,柴田武 (三省堂新書)
(図開架 801.7:G876 )
8. 「私家版・ユダヤ文化論」 / 内田樹 (文春新書)
(図開架 316.88:U17 )
(図開架 289.3:S589)