中央図書館「思考の森」では企画展「西田幾多郎先生の読書のススメ」を開催します。今回は今年没後80年を迎えた西田幾多郎（1870～第四高等学校（四高、金大の前身校の一つ）ゆかりの哲学者）による「読書の勧め」についての展示です。この機会にご覧ください。

■会期
2025年6月16日（月）～8月29日（水）

※会期中，担当職員が展示物を解説するギャラリートークを行います。お気軽にご参加ください。
6月17日（火），6月25日（水）各12:20～　15分程度

■展示場所
中央図書館２階「思考の森」展示コーナー ※閲覧カウンター前

 

■展示内容
明治末期，京都帝国大学の学生監を務めていた山本良吉（四高出身，西田幾多郎の親友）は，内外の著名な学者に「一般帝国大学生の品性鍛錬に必要な書籍」の推薦についてのアンケートを行い，70名からの回答を集めた帝大生向け読書案内『静修書目答問』を発行しました。本学附属図書館が所蔵するこの本は，当時京都帝大の助教授だった西田幾多郎が，母校四高に寄贈したもので，西田自身も14点の書物を推薦しています。今回の展示では，西田の推薦図書を中心に，『静修書目答問』が描き出す明治期の大学生の読書の一端を紹介します。展示を通じて，現代の学生が読書の魅力に触れ，関心を深めるきっかけとなることを期待しています。

 

展示資料（一部は複製パネル）。全点，金沢大学附属図書館の所蔵資料です。★は西田幾多郎の推薦図書

 

1. 靜修書目答問 / 山本良吉著 ; 京都帝國大學以文會編. 博文館, 1912.6

2. 西田幾多郎の手紙 / 西田幾多郎 [著] ; 田部隆次 [編]著. 斎藤書店, 1947.10　※四高教授時代西田の同僚だった田部隆次が西田からもらった200通以上の書簡を書籍化した本。『靜修書目答問』の回答に際して田部がアドバイス行った旨の記述がある。

3. ★Epiktets Handbüchlein der Moral : nebst anderen Bruchstücken der Philosophie Epiktets（エピクテトス『人生談義』） / aus dem Griechischen übersetzt von H. Stich. Philipp Reclam, [Vorw. 1884]　※西田はドイツ語版を記載

4. ★Selbstbetrachtungen（マルクス・アウレリウス『自省録』） / Mark Aurels ; herausgegeben von Heinrich Schmidt. A. Kröner, [1909]　※西田はドイツ語版を記載

5. ★Der Schatz der Armen. 2te Aufl（メーテルリンク『貧者の宝』） / Maurice Maeterlinck ; in das Deutsche Üdertragen von Friedrich Oppeln-Bronikowski. Diederichs, 1902　※西田はドイツ語版を記載。西田が実際に手にしたと考えられる本。

6. ★Weisheit und Schicksal. Verbesserte Aufl（メーテルリンク『智慧と運命』） / Maurice Maeterlinck ; deutsche übertragen von Friedrich v. Oppeln-Bronikowski. Diederichs, 1902　※西田はドイツ語版を記載。西田が実際に手にしたと考えられる本。

7. ★獄中記 / オスカ・ワイルド著 ; 阿部知二譯 （岩波文庫）．岩波書店, 1935.4　※西田は原著（原題De Profundis）を記載しているが，今回は訳者序の中に西田の名前が出てくる訳本で紹介する。

8. ★遠羅天釜（おらでがま） / [白隠慧鶴著] . 1751（寛延4)年 3冊　※展示本は暁烏文庫の中のもの。

9. 北條先生に始めて教を受けた頃（広島高等師範学校尚志同窓会「尚志」第109号付録所収）広島高等師範学校　1929（昭和4) ※西田が四高生だった時に北條から『遠羅天釜』をもらったことを記した文章

 

今回の展示は以下の内容をベースに企画しました。
橋 洋平「第四高等学校所蔵『静修書目答問』と西田幾多郎による帝国大学生向け推薦書リスト」金沢大学資料館紀要 (20) pp.39-52, 2025年
https://doi.org/10.24517/0002002652

 

■ガイドペーパー＆参考資料

・「思考の森」企画展ガイドペーパー　2025年6月

・企画展関連資料：西田幾多郎『読書』（京都府立第一中学校編纂「読書の栞」1916（大正５）年を再掲載）

 

■問い合わせ
学術情報課貴重資料担当　

e-mail: collection@adm.kanazawa-u.ac.jp