渡辺良成教授(ノーベル賞受賞者に会ってみよう! -自伝を読む楽しみ-)
平成22年4月1日~9月9日 中央図書館で展示されました
平成22年9月13日~平成23年1月7日 医学系分館で展示されました
ノーベル賞受賞者に会ってみよう!
-自伝を読む楽しみ-
渡辺良成 教授(イノベーション創成センター)
読書案内を紹介するにあたり、私の尊敬する方々の自伝を中心に並べてみました。古典から、半古典というべきものです。新刊書店では手に入れにくくなっている書籍でも、手軽に手に取ることができるのが、図書館のよいところですので、この機会に足を運んでみてください。テーマは生物系、物理系のものが中心ですが、むしろ、人文社会系の学生さんにも若いうちに触れておいていただきたいものを意識して選びました。たとえば7番の理論物理学者「湯川秀樹」と本学の法科大学院の教授の不思議なつながりなどを、法学類の学生さんが知れば視野が広まるでしょう。しかし、だからといって、どの本も気が向かないものを無理に読もうとしなくてもよいのです。その訳は、この文章を最後まで、あるいは、ここでスキップして最後の数行を読むだけでもわかってもらえるかもしれません。本を選ぶ際には、あとがきから最初に読むという方も結構いるでしょうから。
紹介する本の著者は最初の1冊を除き、ノーベル賞受賞者です。2番と3番で紹介する私がもっとも敬愛するアーサー・コーンバーグ博士の著書は、「読書案内」を私の前に書かれた医学類の山本博教授が紹介予定だったところを私のために残しておいてくださいましたので二重にお薦めということになります。ノーベル賞受賞者に直接会ったり、話を聞いたりすることは、ごくごく稀なことですし、故人の場合は、もちろん、残された著作などを通じてしか、触れることはできませんが、自分の好きな場所と自由時間で著者と静かに向かい合うことができるのは、読書の利点です。そして、場合によっては、運と意思があれば、著者本人に実際に対面し対話することも夢ではありません。その実例は、どうぞ以下を読んでみてください。
1.古代への情熱 : シュリーマン自伝 / シュリーマン著; 村田數之亮訳, 岩波書店 , 1976.2
2.輝く二重らせん : バイオテクベンチャーの誕生 / アーサー・コーンバーグ著; 宮島郁子, 大石圭子訳, メディカル・サイエンス・インターナショナル , 1997.5
3.それは失敗からはじまった : 生命分子の合成に賭けた男 / アーサー・コーンバーグ著; 正井久雄, 中山直樹訳, 羊土社 , 1991.5
4.二重らせん / ジェームス・D.ワトソン著; 江上不二夫, 中村桂子訳, 講談社 , 1986.3
5.DNAのワトソン先生、大いに語る / ジェームス・D・ワトソン著; 吉田三知世訳, 日経BP社,日経BP出版センター (発売) , 2009.4
6.旅人 : ある物理学者の回想 / 湯川秀樹著, 角川書店 , 1960.1
7.湯川秀樹日記 : 昭和九年:中間子論への道 / 湯川秀樹著; 小沼通二編, 朝日新聞社 , 2007.12
8.精神と物質 : 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか / 立花隆, 利根川進著, 文藝春秋 , 1990.7
9.私の脳科学講義 / 利根川進著, 岩波書店 , 2001.10
10.同時代ゲーム / 大江健三郎著, 新潮社 , 1979.11