西脇ゆり先生( 本は別世界への扉)
本は別世界への扉
西脇 ゆり先生(男女共同参画キャリアデサインラボラトリ-)
大学は出会いの場だと思います。大学生活の中で多くの人や学問との出会 いを得てほしいと思います。そしてまた本とも出会ってみて下さい。
私はいわゆる「本の虫(死語でしょうか)」で活字がないと生きていけません。どんなに忙しい時でも新聞,雑誌,本・・・なんでもいいので文字を読みます。本は食べ物と同じくらい生活必需品なので,引っ越しの時に家を選ぶ基準の1つは, 「図書館が近いこと」です。
そんな私にとって,本は別世界への扉です。 基本的に物語が好きなので, エッセイやノンフィクションよりも小説を読んでいます。物語を読む時は,自分が自分であることを忘れ,完全にその世界に入り込んでいます。人生は1回きりで,性別も年齢も顔も才能も仕事も簡単には変えることはできませんが,本の中では ヒーローにも天才にも魔法使いにも動物にも同化できます。
小学生の頃は,ルパンやホームズ,少年探偵団が大好きで,中学生になってからはアガサ・クリスティを読み漁り,クロフツやクイーンなどを読みました。SFも好きで星新一を読んだり新井素子を読んだり。大学生になってからは綾辻行人の「十角館の殺人」に衝撃を受け,新本格と呼ばれる分野を数多く読みました。一人旅のお供は赤川次郎,内田康夫,西村京太郎。私と同年代の方には頷いていただけるかもしれません。シリーズ物も好きです。栗本薫の未完の大作グインサーガ(100巻以上あります)を始めとして沢山のシリーズ物を読みました。
今回,本の紹介というお話をいただいた時,娯楽系の物語ばかりを読んできた自分が人に本を紹介して良いのだろうか・・・と自問自答しました。例えば推理小説なんて殺人が日常茶飯事ですし,人にご紹介したら悪影響かも?などと心配しました。でも,これまでいろいろな先生方が個性やご専門を活かした紹介をされているのを拝読し,自分なりの本の紹介をできれば良いのではと思いました。「誰でも知っているベストセラーを紹介してなんになるのだろう?」などと気にせず素直に私の好きな本をご紹介します。「別世界」へ連れて行ってくれる物語を中心に選んでみました。
学生の皆様にお伝えしたいのは,長い物語は若いうちに読んだ方がいい(年をとると眼と気力が衰えてくるから)ということと,年齢によって感動する本は変わっていく(適齢期がある)ということです。今しか出会えない物語,自分の感性に合う別世界を是非見つけていって下さい。
1.トムは真夜中の庭で / フィリパ・ピアス作 ; 高杉一郎訳, 岩波書店 , 2006.4 (図開架 933:P359)
2.黒後家蜘蛛の会 / アイザック・アシモフ著 ; 池央耿訳 , 東京創元社 , 1976- (図開架 933:A832:1~5)
3.しゃばけ / 畠中恵著 , 新潮社 , 2013.3 (図開架 913.6:H361)
4.蒼き狼 / 井上靖著 , 新潮社 , 1962 (図書庫 913.6:I58:3)
5.フリーター、家を買う。 / 有川浩 [著] , 幻冬舎 , 2012.8 (図開架 913.6:A699)
6.オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎著 , 新潮社 , 2003.12 (自然図2F一般図書 913.6:I74)
7.ぼくは勉強ができない / 山田詠美著, 新潮社 , 1996.3 (図開架 913.6:Y19)
8.春来たる死神 / 桜庭一樹 [著] , 角川書店 , 2010.3 (図開架 913.6:S158)
9.時生 / 東野圭吾[著] , 講談社 , 2005.8 (図開架 913.6:H634)
10.アルジャーノンに花束を / ダニエル・キイス著 ; 小尾芙佐訳 , 早川書房 , 2015.3 (図開架933:K44)
11.ステップファザー・ステップ / 宮部みゆき[著] , 講談社 , 1996.7 (図開架 913.6:M685)
12.ホット・ロック / ドナルド・E・ウエストレイク [著] ; 平井イサク訳 , 角川書店 , 1998.9 (図開架 933:W529)
13.街の灯 / 北村薫著 , 文藝春秋 , 2006.5 (図開架 913:K62)
14.星へ行く船 : ロマンチックSF
15.統計学入門 / 東京大学教養学部統計学教室編, 東京大学出版会 , 1991.7 (図開架 417:T646)