ブラジルへの郷愁(サウダージ)
杉山欣也先生(人間社会研究域-歴史言語文化学系)
2013年,調査の目的からリオとサンパウロを訪問しました。それ以来、私は「ブラジル」という名の病いにかかりました。そして2016年には家族とともに10ヶ月間,現地日系社会のサポートを得てサンパウロに滞在。さらにその奥深さに惹かれるに至りました。あー,またブラジルに行きたい!
しかし,悲しいかなブラジルはとても遠い。なにしろ,飛行機を乗り継いで,金沢の自宅からサンパウロまでだいたい36時間かかるのです。現在でもその調子ですから,かつて神戸や横浜の港から移民船で移住した方々はどんなに時間がかかったことでしょう。
そこで今回は,地球の反対側にあるブラジルへの旅と,ブラジルでの生活を描いた日本文学(小説や紀行文)をメインに紹介してみたいと思います。これは私なりの『ブラジルへの郷愁』(レヴィ=ストロースの著書タイトル)です。
(1) 浮遊霊ブラジル / 津村記久子著, 文藝春秋, 2016.10 (中央図開架 913.6:T882)
(2) いつか深い穴に落ちるまで / 山野辺太郎著, 河出書房新社, 2018.11 (中央図開架 913.6:Y19)
(3) 巡禮 / 島崎藤村著, 岩波書店, 1940.2 (中央図四高 5:30:225)
(4) 蒼氓 / 石川達三著, 秋田魁新報社, 2014.6 (中央図開架 913.6:I79)
2:ブラジルを体験する
(1)『アポロの杯』 (「三島由紀夫紀行文集」 / [三島由紀夫著] ; 佐藤秀明編 所収)岩波書店, 2018.9(中央図文庫・新書 I915.6:M678)
(4) オーパ! / 開高健著 ; 高橋曻写真,集英社, 1978.11(中央図開架 915.6:K13)
(5) オーパ!. 直筆原稿版 / 開高健著 ; 高橋曻写真,集英社, 2010.4(中央図開架 915.6:K13)
3:ブラジルの「にほんじん」を描く
(1) 輝ける碧き空の下で / 北杜夫著,新潮社, 1982-1986(中央図開架 <第1部>913.6:K62:1 / <第2部>913.6:K62:2)
(6) 海越えてなお : 移住者たちが短歌に綴った二十世紀 / 小塩卓哉著,本阿弥書店, 2001.12(中央図開架 911.16:O82)
(7) コーヒー園に雨が降る : マナブ間部自伝画文集 / マナブ間部著,日本経済新聞社, 1994.9(中央図開架 723.1:M112)
4:ブラジルの言葉と社会
(1) 移民と日本人 : ブラジル移民110年の歴史から / 深沢正雪著 ; サンパウロ・ニッケイ新聞社編,無明舎出版, 2019.6(中央図開架 334.462:F961)
(2) ブラジル : ブラジル(ポルトガル)語 / 猪木亜弥子ファニー著(旅の指さし会話帳 ; 23) ,情報センター出版局, 2001.12(中央図開架 801.7:I58)
(3) O jeitinho no Japão para os brasileiros : guia prático para viver no Japão / Matsuda Makiko, Tiago Sales Pinto,Shumpusha, 2008.3(中央図開架 810.7:M434)
(4) これがリオ! = Isto é Rio! / 尾花亮平, José Rafael Alves dos Santos Junior[著],ウニツール, 2006.7(中央図開架 296.09:O12)
5:ブラジル文学
ブラジル現代文学コレクション ,東京 : 水声社, 2017-
●老練な船乗りたち : バイーアの波止場の二つの物語 / ジョルジ・アマード著 ; 高橋都彦訳,水声社, 2017.11(中央図開架 969.3:A481)
●エルドラードの孤児 /ミウトン・ハトゥン著 ; 武田千香訳,水声社, 2017.11(中央図開架 969.3:H364)
●家宝 / ズウミーラ・ヒベイロ・タバーリス著;武田千香訳,水声社, 2017.12(中央図開架 969.3:T231)
●最初の物語 / ジョアン・ギマランイス・ホーザ著 ; 高橋都彦訳,水声社, 2018.5(中央図開架 969.3:R788)
●あけましておめでとう / フーベン・フォンセッカ著 ; 江口佳子訳,水声社, 2018.12(中央図開架 969.3:F676)
日本に日本文学がある様に、ブラジルにもブラジル文学があります。マシャード・ジ・アシス、パウロ・コエーリョなど世界的に評価の高い作家を輩出しています。
ここでは近年刊行された「ブラジル現代文学コレクション」をご紹介しておきます。中央図書館にありますので、ぜひ手に取ってみてください。