KURA20周年特設ページ

 

2026年6月12日に金沢大学機関リポジトリKURA(Kanazawa University Repository for Academic Resources)は20周年を迎えました!

このページではKURA20年の歴史を「できごと」と「数値」で振り返り、これからの展開について紹介します。

 

 

 

 

 

金沢大学機関リポジトリKURAとは

KURAは、本学の教職員等が、本学における教育・研究活動の結果として生み出した学術的な情報(コンテンツ)を電子的な形態で保存し、インターネット上で公開するシステムです。 本学の研究・教育上の実績を示す「ショーウインドウ」として位置づけられ、部局ごと、資料種別ごとにインデックスを作成しています。

 

 

数値で見るKURAのあゆみ

KURA登録件数の推移

令和7年度末登録件数

58,834件

紀要論文:

22,684件

学術雑誌論文:

13,869件

学位論文:

3,364件

※2006~2009年度は内訳不明のため登録件数のみ。

※紀要論文が多いのは、全国の大学の登録傾向と同様です。

※初期に、登録数を増やすため、科研費報告書を登録していた名残なのか、研究報告書が多いのが本学の特徴です。

 

 

KURA登録件数の内、学術論文登録数の推移

※2018年度にOA方針を策定しましたが教員からの自発的な申請は少なく、2019年度に増加し2020年度に再度激減しています。

※2024年5月に専任職員を新規採用し登録数が増加しました。

 

 

KURAにおける資料種別の割合の推移(2010年度・2025年度比較)

2010(H22)年度 登録件数24,033件
2025(R7)年度 登録件数 58,834件

※紀要論文の比率が高いですが、学術雑誌論文の比率も伸びています。

 

 

KURAの歴史

 
主な出来事(水色=学内、黄=学外) 運用
体制
シス
テム

 
 
 
 

 
 
 
 
2004

NII「次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業」開始

→グリーンOAに対する機運の高まり

2005

9月

NII「平成17年度次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業」に採択

10月

金沢大学機関リポジトリの在り方に関する検討委員会(教員組織)設置

12月

各部局教授会等でIRについての説明会を開催

各部局教授会等でリポジトリについての説明会を開催、学内アンケート調査(学内紀要等の著作権及びIRへの登録、学術論文のIRへの登録希望)

2006

3月

金沢大学機関リポジトリの在り方に関する検討委員会報告

「金沢大学学術情報リポジトリ設置要項」承認

4月

平成18年度次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業に採択

6月12日KURA公開

12月

各部局教授会でKURAへのコンテンツ提供依頼の説明開催

2007

4月

平成19年度次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業に採択

2008

7月

平成20年度次世代学術コンテンツ 基盤共同構築事業に採択

2009

7月

平成21年度次世代学術コンテンツ 基盤共同構築事業に採択

2010

7月

平成22年度次世代学術コンテンツ 基盤共同構築事業に採択

10月

国際オープンアクセスウィーク2010に合わせKURA累積トップ20ダウンロードの執筆者インタビューを実施

2011
2013

学位規則の一部を改正する省令の施行

博士論文のインターネット公表

2016

学術情報のオープン化の推進について(審議まとめ)

科研費報告書に「リポジトリに掲載したか」のチェックボックスが出現

2017

4月

オープンアクセス方針検討ワーキンググループ発足(教員組織)

学術雑誌登録件数が1万件突破!

2023
2025

PreKURA構築/OSS(金沢大学オープンサイエンスシステム)との連携開始

2026

令和7年度金沢大学特別表彰を受賞

And the journey continues

 

KURAのこれから

PreKURAの構築およびOSSとの連携開始

オープンアクセスを支援する“リポジトリ(KURA)登録支援システム”。論文のみならず、研究データのメタデータを公開するために、2024年度のオープンアクセス加速化事業で構築しました。

PreKURAでは、researchmapから本学研究者の論文情報を、OSS(オープンサイエンスシステム)から論文根拠データ及び研究データのメタデータを自動収集します。PreKURA上でフォーマットチェックと不足項目の補完を行い、高品質なメタデータをKURA登録用に生成するほか、図書館と研究者の連絡もシステム上で行います。さらに、研究者は自身のOA状況を可視化できる仕組みとなっています。
→金沢大学学術情報リポジトリKURAへの研究成果の登録について

 

 

今後の展望

KURAのさらなる発展に向け、以下の機能実装・高度化を推進します。

・現在researchmap経由で実施している論文情報の取り込みを、OSSを活用した取り込み方式へ移行することにより、DMP情報と論文・研究データを統合し、研究開始から成果公開までを一気通貫で支援する研究情報基盤を実現します。

・AI技術を活用し、メタデータ補完、オープンアクセス(OA)状況判定、出版社ポリシー確認等の処理を自動化・高度化することで、研究者および管理者の業務負担を軽減します。

・論文と根拠データの関連付けを強化するとともに、DOIとメタデータの連携を通じて、研究成果と研究データを統合的に管理できる仕組みを構築します。

・GakuNin RDM、WEKO3、CiNii等との連携を前提とし、OA支援機能(OAアシスト等)との適切な役割分担モデルを検討することで、研究成果公開支援の効率化と高度化を図ります。

 

 

リンク

附属図書館は,論文のオープンアクセス化を支援します!

OA促進動画「金のカギ、緑のカギ:はじめてのOA」

OSS(オープンサイエンスシステム)

金沢大学機関リポジトリKURA

PreKURA

 

 

KURA創成期アナザーストーリーズ

橋 洋平

金沢大学総務部
学術情報課総務係
(貴重資料担当)

KURA立上げ時の
担当係長

作成日:
2026年6月25日

 

 KURAの立上げについて語ろうとする時、「2005年の内島さん」を抜かすことはできない。 「内島語」と言ってもよい横文字を駆使して、大学図書館が機関リポジトリを持つことの意義を熱く早口で語っていた当時情報企画課の副課長だった内島秀樹さん。そのイニシアチブ(これも内島語の1つ)がKURAの起点だった。私もKURAの立上げに関わっていたが、内島さんの思いに同調して、あれこれ動いていただけである。後から考えると「しゃべるのが内島さん、残すのが私」という感じだったかもしれない。 ということもあり、KURA立上げ直後に私が『大学図書館研究』に執筆したのが次の文章である。

 

橋 洋平「金沢大学学術情報リポジトリKURAの構築と課題」

大学図書館研究 79, pp.18-26, 2007-03-31

 

 KURAの創成期の様子は、ほぼこの文章にまとめてある。が、せっかくの20周年記念なので、ここでは「この正式版」についての「今なら話せる注釈」やほとんど意味はなさそうだが「結構面白い小ネタ」「アナザーストーリーズ」として紹介したい。テレビ番組で言うところの「副音声解説」的な感じで気軽にお読みください。

 

1.リポジトリをやろう

 国立大学が法人化して間もない2005年頃、「リポジトリ」という用語を知っている人は金沢大学附属図書館には皆無だった。それをやろうと言い出したのが内島さんだった。20年前も今も外国雑誌や電子ジャーナルの価格高騰問題は同じである。解決するには?商業出版社に独占されている学術コミュニケーションの流通ルートにオルタナティブ(別ルート)を作ること。それが機関リポジトリ(Institutional Repository)。内島さんはスティーブン・ハルナッド(Stevan Harnad)による「転覆計画(A Subversive Proposal)」なる英文記事を読み、大学内、図書館内にその考え(言うまでもなくオープンアクセスですね)を広めようとしていた。組織内での意思決定のパターンには、トップダウンとボトムアップがあるが、金沢大学のKURAの場合は、ミドルアップ(こんな言葉、あまり聞きませんが)で始まったといえる。

 

2.CSI事業があったからこそ

 そこに予算面での風が吹いてきた。国立情報学研究所(NII)が主導するCSI事業である(この事業、とても長く複雑なので…正式名は省略します。とにかく「CSI事業」の呼称で当時は通じていました)。既に世界的には学術コミュニケーション改善への動きが色々と動き始めており、NIIも内島さんもその新しい流れに乗って日本の大学図書館界を動かしたいと考えていたとも言える。このCSI事業に採択されたことで、千葉大学、北海道大学に続き、筑波大学、九州大学、岡山大学などの”同期生(みんな一緒に今年20周年)”と同時期に何とかシステムを立ち上げることができた。システムだけでなく、初期コンテンツとして、学内紀要の登録も行うことができた。このCSI事業なしに、全国10番以内という早い時期に、KURAは生まれなかっただろう。

 

3.システムはどうする?

 立上げに当たってまずポイントになったのがシステムの選定である。JAIRO Cloudはもちろんない。その他のクラウドサービスも普及していなかったので、大学内にサーバーを立ち上げる案を検討した。継続性を考えると、図書館の業務用システムと一体化する案も考えられたが、やはり費用面が問題。「機関リポジトリについては、オープン・ソフトがあり、ユーザーのコミュニティがサポートしてくれる」「学内の総合メディア基盤センター(当時、附属図書館とは同じ情報部に所属、現学術メディア創成センター)も機関リポジトリの立上げに関心があるので、自前で何とか運用できるのでは?」という判断で、最終的には、Dspaceというソフトをメディアセンターのサーバーにインストール(ハードへのインストールなどは業者が担当)する形でスタートすることになった。次がKURA開設時のトップ画面のデザインである。

 

【ちなみに1】「青字に白抜きにKURA」のロゴとも言えないような当時のロゴ(↑)は取りあえず私が作ったもの。その割にJAIRO Cloudに移行するまでずっと使っていました。

【ちなみに2】KURAといえば「蔵」。ということで、現在のKURAのトップ画面(↓)にはナマコ壁っぽいデザインが使われていますが、これはスタート当時に作った以下(↓↓)のクリアファイルのデザインを引き継いだもの。

 

↑ KURAスタート時に作った「OPEN! KURA」のクリアファイル。チラシを入れて説明の時に配布していました。赤字で書かれた「OPEN!」という文字を見て「某M製菓のCMと同じだ」と指摘している人も。

 

4.手続きだけはきっちり踏もう

 内島さんのイニシアティブで「機関リポジトリ(名前はまだない)」の立上げに向けての動きが始まった。「大学図書館にとっても非常に重要な取り組み。手続きだけはきっちり踏もう」ということになり、当時の館長・部課長(橋本哲哉館長、由良信道情報部長、木下聡情報企画課長…皆さん懐かしい)も巻き込み、「トップダウンでオーソライズ」というオーソドックスな策を取ることにした。

 

 2005年10月末、まず「金沢大学機関リポジトリ(IR)の在り方に関する検討委員会(以下「検討委員会」)」を作り、「金沢大学学術情報リポジトリ設置要項」と機関リポジトリに登録する資料範囲・運用などに盛り込む「金沢大学学術情報リポジトリ運用指針」の案を確定した。その後、図書館委員会⇒情報企画会議⇒教育研究評議会等で報告を行い、最終的に「KURAは全学の機関リポジトリです」というお墨付きをもらった。

 

 ちなみに当時の検討委員会のメンバーには各分野の教員が参加。「電子ジャーナルの価格高騰に強い不満を持っていた理系教員」「arXive(機関リポジトリの先駆ともいえる物理学系のプレプリントサーバー)の運営に関わっていた経験のある教員」「学内の総合メディア基盤センターのデータベース担当の教員」といった強力な先生方がバランス良く含まれており、図書館の新しい取り組みの後押しをしてくれた。

 

5.ネーミングは楽しみながら考えました

 機関リポジトリの名称についても、附属図書館の職員が考えたいくつかの案をベースに、この検討委員会で確定した。当時の資料を見てみると次のようなものがあった。遊んでいるとしか思えない案もあったが、新しいサービスに向けて楽しみながら考えていたことを思い出す。

 

KURA以外の候補として出された案の例

・金沢大学 電子成果リポジトリ KUDOS(発音:キュードス)=
Kanazawa University Repository for Digitalized Outcomes

 

・金沢大学 知的資源リポジトリ KURIP(発音:クリップ)=
Kanazawa University Repository of Intellectual Properties

 

・金沢大学学術機関リポジトリ KUIR (発音:クィール)=
Kanazawa University Institutional Repository

 

・金沢大学リポジトリ(略称なしでそのまま使う)=
Kanazawa University Repository

 

 金沢大学同様、「K」で始まる大学名は非常に多いので、「KURA」というシンプルなネーミングは、もしかしたら「早い者勝ち」だったのかもしれない。ちなみに…私が賑やかしで提案した 金沢大学オープンアクセスリポジトリ RIKUTUNA(発音:リクツナー)= ReposItory of Kanazawa University for The UNlimited Access については、一部で支持を集めたものの、英文略称が「く、くるし過ぎる…」のと、「ローカル過ぎる(「理屈なぁ」は、金沢の方言で「うまくできている」とほめる言葉」)ので却下された。

 

6.学部まわりも楽しい思い出

 全学を巻き込んで、新しい図書館サービスを効果的に動かそうという思いから、「検討委員会」の活動と並行して、全学部の教授会などで、「機関リポジトリとは?」という説明と協力をお願いする行脚を課長以下で行った。工学部での説明は、たまたま1月上旬だったこともあり、「目立つには着物しかないだろう」ということで着物でプレゼン。「イガワさんありがとう!」。この場を借りて御礼申し上げます。

 

着物でプレゼンするイガワさん

 

7.教育研究評議会での説明の思い出

 2006年6月のKURA公開直前、教育研究評議会で当時の林 勇二郎学長及び大勢の先生方の前で説明と実演を行ったことも思い出す。この段階では既にシステムとしてのKURAは動いており、どういう動きをするのかを実感していただくのが目的だった。その時に仕込んでおいたのが、学長が執筆したグリーン論文。Elsevier社から刊行された学術雑誌論文の著者最終稿を共著の先生にお願いして入手し、次の論文など数点を事前に登録しておいた。

 

Yoshioka, H ; Tada, Yukio ; Hayashi, Yujiro . Crystal growth and its morphology in the mushy zone . Acta Materialia. 52 pp.1515-1523, 2004-04-05. Elsevier URL:http://hdl.handle.net/2297/1627

 

 著者最終稿という用語まで記憶していただけたかは不明だが、電子ジャーナルで提供されている論文とほぼ同様のものを「ただで読める」ことは実感していただけたはずである。

 

8.仕上げはプレスリリース

 KURA立上げの活動の締めの活動としてプレスリリースを行い、中央図書館内のAV室でデモを行った。探してみると次のようなプレスリリースの文書が出てきた。

 

 驚いたことに、地元テレビ(北陸放送)の取材もあり館長(この時は鹿島正裕館長)、木下聡情報企画課長が説明、私がデモを行った。

 

左が木下課長、右が私

 

9.全国のリポジトリ担当者をつないでいたDRF

 2006年頃以降の各大学での機関リポジトリに関する活動を色々な面から支え、担当者間をつないできたのが、DRF(Digital Repogitory Federation ダーフ)という全国の大学図書館・図書館員によるコミュニティだった。

 

 DRFの活動は、CSI事業「機関リポジトリコミュニティの活性化」として動いていたが、各大学の図書館員が自発的につながっていた印象があり、バーチャルだけれども不思議な一体感を感じていた。金沢大学はDRFの設立当初から北海道大学さん、千葉大学さんなどと共に幹事として関わっていた。日常的にはメーリング・リストで色々な情報をやりとりしていたが、内島さんから「何でもいいからDRFのメーリングリストに書き込んでくれ(≒盛り上げてくれ)」と言われ、本当に何でも(機関リポジトリに少しでも関連するなら…ですが)書いていたことを思い出す。

 

 例えばDSpaceなどのシステム面の技術的な質問だけでなく、各大学での研修・広報・啓蒙活動などについてもやりとりしていた。もともとは確か北海道大学さんで行っていた「OA寸劇」が、「OA紙芝居」に進化していったり、さらには図書館総合展などで色々なワークショップを行って、全国の図書館員レベルでのつながりが生まれたり…図書館員の活動が各大学内にとどまらず、全国規模に広がったことは、かなり画期的なことだったのではと思う。恐らく「こういう感じ」は、現在のJPCOAR の活動にも引き継がれているのではないかと思う。

 

(参考)DRFの活動については次もご覧ください。活動終了後に「特集さよならDRF」としてまとめられたものです。

DRF月刊DRF (第87号 (特別号)) 2017年3月31日
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/repo/huscap/all/73653/DRFmonthly_87.pdf

 

 以上、ここまでKURA創成期の「もろもろ」を長々と書いてきたが、日本の大学図書館界に機関リポジトリがどんどん立ち上がったこの時代、大変な面も多々あったけれども、新しいサービスが始まる喜びを味わえた刺激的な時代だったと感じている。

 

(追記)

 北海道大学で始まった「OA寸劇」の内容が全国に広がり、兵庫教育大学で「OA紙芝居」に進化。内容は今でも通じますね。KURA20周年を記念して(たまたまタイミングが合っただけですが)、2026年6月に金沢大学でOA促進動画「金のカギ、銀のカギ」を公開しましたが、こういった企画を考えてしまうこと自体、DRF気分の名残なのかもしれません。この動画作成の裏話もあるのですが…これはまた別のお話。

 

これらの動画は次で公開しています。

URL:https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18463