『近代教育掛図からみた明治文明交流史』 開催のご案内

石川四高記念文化交流館リニューアルオープン記念講演会
『近代教育掛図からみた明治文明交流史』 開催のご案内
 

 金沢大学附属図書館には,旧制第四高等学校時代に利用された「掛図」が数多く伝わっています。「掛図」とは,壁や黒板に架けられた大判の図や表のことで,外国の風景や動植物などのカラー印刷図や当時の絵師たちの手に成る手描図があります。
 このたび,松田教授はこれらの掛図を調査し,画像をインターネットで発信するとともに,目録として出版されました。
 本講演では,この掛図を手がかりに明治期高等教育の実態を,その背景にある日欧文明交流の歴史とともに考えます。画像の紹介と実物の展示も行います。
 多くの皆さまの御参加を心よりお待ちしております。


PDF版のポスター
  • 日時:4月26日(土) 午後1時30分~3時 
  • 場所:石川四高記念文化交流館 (旧石川近代文学館) 
  • 講師:松田清氏 (京都大学大学院人間・環境科学研究科教授) 
  • 定員:50名(先着順) 
  • 料金:無料 
  • 主催:金沢大学附属図書館・石川四高記念文化交流館 
  • 申込方法:電話,Fax ,E-mailにより金沢大学附属図書館(下記)へ 
 TEL:076-264-5210 FAX: 076-264-5208
 E-mail:ynomura@ad.kanazawa-u.ac.jp

※できるだけ4月21日(月)までにお申し込みください。
申し込み多数の場合は先着順とさせていただきます

講演概要

 明治国家は高等教育による人材育成を全国規模で展開するため、明治19年中学校令により高等中学を7校設置しました。これがいわゆる旧制高校のナンバースクールに発展し、終戦直後まで近代日本のエリート教育に大きな役割を果たしました。

 開成学校、開拓使学校(東京)、阪府洋学校(大阪)、札幌農学校など明治前期のエリート校では欧米製の輸入掛図が使用されました。高等中学の時代になると、当時の先端印刷技術であったカラー石版による掛図や欧文教科書の挿絵を拡大模写した掛図が用いられ、さらに旧制高校の時代には優れた国産掛図が普及しました。

 これらの近代教育掛図は各地の大学図書館に最近まで眠っておりました。明治維新、昭和の敗戦、そして平成の凋落。現代日本は少子高齢化と地域間格差、地球規模の環境問題など克服すべき多くの課題を抱えております。その解決に向けて地域からどのような人材を生み出すべきか。長期的かつ歴史的展望に立って、あらためて人材育成のあり方を考えなければなりません。かつてエリートの卵たちが学んだ掛図に対面するとき、明治の教育エネルギーに圧倒されます。伝統的価値と近代的な知識との葛藤も感じられます。

 本講演では金沢大学に伝わった旧制第四高等学校旧蔵の近代教育掛図を手がかりに、明治期高等教育の実態を、その背景にある日欧文明交流の歴史とともに考えてみたいと思います。(松田清)