暁烏文庫の由来

暁烏文庫の由来

よみたしとあつめしふみをのちにくる
ひとにのこしてやすくよをさる

 暁烏敏先生は宗教界の偉人なり。幼より深く学を好み博く書を読み、東西古今の貴重なる典籍を集むる事五万余冊、香草文庫と称して之を愛蔵す。戦後感ずる処あり、金沢大学の創設に当り、頭書の和歌を添えて寄贈せらる。けだし後進誘益に外ならず、こゝにおいて本学は三十間長屋を書庫に充て、閲覧室を新築して暁烏文庫を完成す。時に昭和二十五年四月二十九日なり、この日を以て暁烏記念日と定め、毎年行事を営み先生の高風をしのぶ。昭和二十九年八月先生入寂せらる誠に巨星地に落つの感あり。こゝに暁烏文庫の由来を略記し、長く先生の遺徳を賛えんとす。

    昭和三十三年四月二十九日

金沢大学長   戸 田 正 三